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東レACS株式会社 災害復旧(Disaster Recovery, DR)プラン導入

東レACS株式会社様のウェブサイトでは、従来「Movable Type クラウド版」を利用して運用されていましたが、広域災害等で国内サーバーがダウンした際、サイト全体が停止してしまうというBCP(事業継続計画)上のリスクを抱えていました。

そこで今回、CMS自体は「Movable Type クラウド版」を継続利用しながら、パブリッシュ(公開)先をコンテンツと切り離し、高耐久な「Amazon S3」へ配置する構成へと刷新。万が一の災害時でもCMSサーバーの稼働状況に依存せず、ウェブサイトの閲覧を継続できる「災害復旧(DR:Disaster Recovery)プラン」を構築しました。

URL
https://www.toray-acs.co.jp/
Client
東レACS株式会社
Scope
プロジェクトマネジメント / インフラ設計・開発 / SmartSyncPack導入
Date
2026/04

S3による2リージョン冗長化

国内(東京/大阪)だけでなく海外リージョンにもデータを同期。日本全土に及ぶような広域災害時でも、世界規模のインフラを用いてサイト閲覧を維持します。

構成図

article_toray-acs-dr.jpg

Webサイトをホスティングするにあたり、AWSの単一リージョンでの障害でサービスが停止するリスクへの対応が求められました。障害発生時に手動で切り替え作業が発生すると、復旧までの時間がかかり、エンドユーザーへの影響が長引きます。そこで、障害を自動検知して自動的にフェイルオーバーする DR 構成を構築しました。

今回の構成では S3 クロスリージョンレプリケーションと CloudFront Origin Failover を組み合わせることで、リージョン障害時に自動でフェイルオーバーする静的サイト DR 構成を実現しました。手動の切り替え操作が不要なため、運用負荷を抑えつつ高い可用性を確保できる点が本構成の最大のメリットです。
また、Amazon S3 を使用することで、DR先でスタンバイサーバを動作させる必要もなく、実行時のコストも抑えられております。

アーキテクチャ概要

S3 バケットを東京リージョン(プライマリ)とバージニアリージョン(セカンダリ)の 2 拠点に用意し、CloudFront を経由してコンテンツを配信する構成です。
DR の要となる仕組みは以下の 2 つです。

① S3 クロスリージョンレプリケーション

プライマリバケットに書き込まれたオブジェクトが、自動的にセカンダリバケットへ継続的に複製されます。削除操作も同期対象とすることで、常に両バケットの内容が一致した状態を保ちます。

② CloudFront Origin Failover

CloudFront の Origin Group 機能を使い、プライマリ S3 がサーバーエラー(5xx)を返すと、オリジンが自動でセカンダリ S3 に切り替わります。エンドユーザーは切り替えを意識することなく、サービスを継続して利用できます。

パフォーマンスへの配慮

両リージョンのオリジンに Origin Shield を設定することで、キャッシュヒット率を高め、S3 へのリクエスト数を削減しています。また、CloudFront Functions を活用してリダイレクトルールの処理をエッジで完結させることで、オリジンへの不要なリクエストを排除しています。

運用・管理面の工夫

構成はすべて Terraform でコード管理しており、本番・ステージングの 2 環境を共通モジュールから生成しています。環境ごとの差異(ステージングの Basic 認証有効化など)は変数で制御しており、構成のばらつきを防いでいます。インフラ変更は Pull Request ベースで行うため、変更履歴の追跡やレビューも容易です。

東レACSご担当者様のお声

「導入に至る過程で、自社サイト運営における潜在的な課題を再認識する貴重な機会となりました。災害時でも顧客・取引先・従業員へ必要な情報を発信し続けられる体制が整ったことで、ウェブサイトの安定性と信頼性を一段と高めることができたと感じています。

また、CDNの導入により海外利用者への情報提供能力が向上したほか、配信工程に「サーバー配信」というステップが加わったことが、発信する情報の校正力を改めて見直す良いきっかけにもなりました。

有事の備え(BCP)のみならず、日常の運用精度やグローバル対応の面でも、非常に意義のあるプロジェクトとなりました。」

災害時も「止まらない」サイトへ。DR環境構築で東レACSのBCP対策を強化

高耐久なAmazon S3への静的配信を組み合わせたDR環境を構築したことで、CMSの稼働状況に左右されない、極めて可用性の高いウェブ基盤を実現しました。

万が一の事態でも情報発信を止めない「安心な構成」を整えたことは、東レACSのBCP方針に沿った安全なサイト運用を確かなものにし、災害時における企業の信頼性維持にも大きく寄与しています。